貴重な食料を保存せよ

私たちが食べる食品の多くは、長期間放置しておくと腐ってしまいます。
食品を如何にして長持ちさせるか。
食べなければ生きていけない人類にとって、それは古代から続く課題だったのです。
腐るとは、化学反応の一種です。
タンパク質などが細菌によって分解されることを腐敗と呼びます。
腐敗に大きく関係しているのが水分です。
一般的に、水分量が多いほど腐敗は進行しやすくなります。
水分と腐敗の関係を経験から感じ取った昔の人々は、
食物を乾燥させることで腐ることを回避していました。
干し肉や魚の干物が良い例です。
乾燥剤の袋がお菓子に添付されているといった光景はよく見られます。
他にも、食物を細菌から守るために塩蔵という方法が執られてきました。
塩に漬け込むことで、細菌が活動しにくくなるのです。
イカの塩辛や漬物などは、こうして作られています。
塩の代わりに糖分に漬け込むことでも、
水分量と細菌の繁殖を抑えることが出来ます。

代表的な例が、ジャムや羊羹です。
煙を用いて食品を腐りにくくする燻製という手法もあります。
食品によって、煙の温度を変えることで独特の風味と食感が生み出されるのです。
スモークサーモンやチーズの燻製は低温で、
魚などは高温で燻製にするのが一般的です。
ほとんどの場合、塩などに漬けた食品を燻すので、
塩蔵の延長線といっても良いでしょう。
決まった時期にしか手に入らない食品を、
少しでも長く味わうために人類は腐心していたのです。
物が腐るという現象を逆手に取った保存方法が存在します。
古くから親しまれてきた発酵食品は、
保存食における革命児といっても良いでしょう。
 

細菌を利用する

腐敗と発酵は、とても似通った化学反応です。
細菌がどんな物質を分解しているかによって呼び名が変わってきます。
タンパク質と反応したなら腐敗、糖分と細菌が反応した場合を発酵というのです。
食品が発酵すると、腐敗を招く細菌が活動出来なくなるため、長期間保存が可能となるのです。
身近な発酵食品といえばお酒になります。
糖分を含む食品が、酵母や細菌の働きで発酵しアルコールを生むのです。
お酒の原料を振り返ってみると、お米や麦、ブドウなど、どれも糖分を含んでいることが確認出来ます。
発酵させるのはとても難しく、食品そのものの酵母のみでアルコールが生まれることは稀です。
安定してお酒を生産するためには、酵母を後から追加して発酵を促す場合が多くなります。
世界中で飲まれているお茶も発酵食品というのをご存知でしたか?
お茶の場合は、細菌ではなく茶葉にもともとある酸化酵素を利用して発酵します。
発酵の具合によって、色や風味だけでなく、淹れられたお茶の名称までが変化するのです。
発酵による酸化が少しだけ進んだ状態がウーロン茶になります。
ポリフェノールがたっぷり含まれており、近年ではウーロン茶の健康作用が注目されていますね。
酸化がさらに進んだ状態が、紅茶になります。
また、加熱によって茶葉の酸化酵素の機能を停止させ、その後コウジカビで発酵させるとプーアル茶となるのです。

紅茶といえばイギリス、ウーロン茶といえば中国というイメージを抱いている人も多いでしょう。
もともとは同じものだったにもかかわらず、地域によって飲み方が異なっているのはとても興味深い点です。
 

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